「会社を辞めて転職しようと思っている」「何か気をつけなければならないことはある?」「退職時の注意点が知りたい!」
このような方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「会社を辞める時、転職する時に気をつけなければならないこと」を5つ紹介していきます。退職・転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
未払いがないかを確認する
退職時にまず注意しなければならないのは、「お金の問題」です。「未払いがないかどうか」をしっかりと確認するようにしてください。
特にチェックしたいのは、以下の2点です。
・残業代
・退職金
・残業代
皆さんご存知の通り、所定労働時間を超えて働いた場合には、残業代が支払われます。しかし、実際には、十分な残業代を支払っていない会社も多く、いわゆるサービス残業が横行している職場もあるでしょう。
残業代の支払いは、労働基準法によって定められた義務です。未払いの場合は法律違反になるため、心配することなく、しっかりと請求するようにしましょう。もし会社が対応してくれない場合は、労働基準監督署に相談してみてください。
厚生労働省が発表した「監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)」によると、令和3年4月から令和4年3月までの間に、労働基準監督署の指導を受け、従業員に未払い残業代(100万円以上)を支払った企業は、なんと1,069社にも及びます。支払われた残業代の合計額は、65億円を超えていました。
参考:監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)|厚生労働省
なお、未払い残業代については、たとえ退職後であっても請求可能です。ただし、残業代の請求権は、本来の支払日から3年が経過した部分から消滅していきます。つまり3年で時効を迎えてしまうので、なるべく早めに請求してください。
・退職金
退職金の支払いについては、法律によって定められているわけではありません。法律上、会社に支払い義務はなく、あくまでも「就業規則にどう記載されているか」が問題になります。
まずは、会社の就業規則を確認し、退職金に関する規定をチェックしてみてください。もし、退職金制度について明記されており、自分が支給対象であるにもかかわらず、未払い状態なのであれば、当然会社側には支払い義務が生じます。
「単に支払い手続きが遅れているだけ」という可能性もゼロではありませんが、しっかりと請求しておいた方が安心でしょう。なお、退職金請求権の時効は5年です。
有給休暇を全て消化する
退職を決めたのであれば、有給休暇は全て消化するようにしましょう。
有給休暇は、労働者に与えられた権利です。会社側には、労働者に有給休暇を取得させる義務があります。
もし、有給休暇を消化せずに会社を辞めてしまったら、ただただ自分が損をしてしまうことになります。そのため、退職の意思を伝えるタイミングで、同時に、有給休暇を消化したい旨を上司に伝えてください。
基本的には、以下の3パターンが考えられます。
・退職日を迎えるまで、少しずつ有休を消化していく
・最終出社日の後に有休をまとめて消化し、有休消化期間の終了日を退職日とする
・退職時に残ってしまった有給休暇を買い取ってもらう
会社に返却するもの、受け取るものを整理する
退職する際には、会社に返却しなければならないもの、会社から受け取らなければならないものが存在します。
これを忘れてしまうと、後々、面倒なトラブルに発展する可能性もあるので注意してください。
【会社に返却するもの】
※会社から貸与・支給されたものは、基本的に全て返却する必要があります。
・健康保険被保険者証(健康保険証)
・社員証、IDカード
・名刺
・支給されていたパソコンやスマートフォン
・その他の備品
【会社から受け取るもの】
・源泉徴収票
・年金手帳
・雇用保険被保険者証
・離職票
・退職証明書(健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書)
・職場に置いていた私物
ごく稀にですが、労働者の同意を得ることなく、会社側で勝手に私物を処分してしまうケースがあります。もちろん違法行為にあたりますが、私物が勝手に処分されたことを立証するのは難しいでしょう。そのため、職場に置いていた私物に関しては、なるべく早めに引き取っておくことをおすすめします。
公的手続きをできるだけ早く行う
会社を辞めた際は、自分でいくつかの公的手続きを行う必要があります。
「すぐに転職する人」と「すぐに転職しない人」で手続き方法が異なりますので、簡単に解説していきます。
【健康保険】
・すぐに転職する場合
会社を辞めるタイミングで健康保険証を返却し、健康保険資格喪失証明書を受け取ってください。これを転職先に提出すると、新しい健康保険証が発行されます。
・すぐに転職しない場合
以下のいずれかの方法で、公的な健康保険に加入してください。
1. 国民健康保険に加入する
2. 任意継続被保険者制度を利用する
3. 被扶養者として、家族の健康保険に加入する
【年金】
・すぐに転職する場合
年金手帳を転職先に提出してください。
・すぐに転職しない場合
国民年金に切り替える必要があります。
退職日の翌日から起算して14日以内に、年金手帳や離職票などを持って、市役所や区役所の「保険年金課」に足を運んでください。
【失業保険(雇用保険の失業手当)】
・すぐに転職する場合
転職先が決まっている場合は、失業保険の受給資格はありません。
・すぐに転職しない場合
ハローワークに離職票を持っていき、手続きを行ってください。
ただし、就職する意思がない人、怪我や病気ですぐに就職するのが困難な人は、失業保険を受け取ることができません。