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火災保険で補償されないケース、どのようなものがある?

近年、大きな被害をもたらす自然災害が頻発しています。

2023年4月27日に日本損害保険協会が発表した 「2022 年度に発生した風水災等に係る各種損害保険の保険金支払状況について」によると、2022年に起きた2つの大きな台風による火災保険金は累計約1,317億円(2023年3月末現在)です。

相次ぐ自然災害や火災に備え、多くの人が火災保険に加入していますが、火災保険の補償範囲や支払われる条件について理解している人は少ないでしょう。

この記事では、火災保険で補償されないケースや理由を解説します。

保険がおりない場合のリスクを理解し、適切な対応策を考えましょう。

火災保険の補償範囲

火災保険の補償範囲は大きく分けて次の6種類です。

  1. 火災、落雷、破裂・爆発
  2. 風災、雹災、雪災
  3. 水災
  4. 外部からの衝突、盗難
  5. 水濡れ
  6. 破損・汚損など

火災保険で補償される事故は火災だけでなく、風水災などの自然災害も補償対象です。

火災保険では、偶然かつ突発的な事故を補償します。

故意や重大な過失による事故は偶然ではないため、補償の対象外です。また、経年劣化が原因の事故も突発的にはあたらないため、補償されません。

火災保険で補償されるかどうかは、原因は何かが重要なポイントです。

火災保険で補償されないケース

火災保険で補償されない具体的なケースを4つ紹介します。

  • 豪雨で天井から雨漏り
  • 洪水による床下浸水
  • 水道管の破裂
  • 免責金額に満たない損害

いずれも火災保険で補償されそうなケースですが、残念ながら保険金は受け取れません。理由も解説するので、今後の参考にしてください。

豪雨で天井から雨漏り

天井からの雨漏りの場合、火災保険で補償されるケースは少ないです。

雨漏りの多くは原因不明で、自然災害が原因だと証明するのが難しいからです。

原因不明の雨漏りは老朽化が原因とされることが多く、老朽化は突発的ではないため火災保険では補償されません。

雨漏りが火災保険で補償されるには、自然災害による破損が原因とわかる証拠が必要です。

たとえば、台風による強風で看板が飛んできて屋根が破損し雨漏りした場合は、屋根の破損部分の写真を証拠とすれば風災として補償されます。

ゲリラ豪雨による突風で屋根材が飛ばされたり、破損したりした場合も、証拠が用意できれば補償される可能性は高いです。

雨漏りの場合、風災により屋根や壁などが破損したケースでないと補償されない可能性が高いため、原因を調査して保険の請求をおこないましょう。

洪水による床下浸水

豪雨による洪水で住宅が床下浸水の被害にあっても、火災保険では補償されません。

床下浸水の被害は、火災保険の水災で補償される条件を満たしていないからです。水災で補償されるのは次の損害です。

  • 床上浸水
  • 地盤面より45cm超の浸水
  • 再調達価額の30%以上の損害

再調達価額とは、同等の物件を再築・取得するのに必要な金額を指します。一般的に、床下浸水で再調達価額の30%以上の損害になることはありません。

床下浸水でも放置しておくと悪臭が発生したり、土台部分が腐食する可能性があるため、処置が必要です。

しかし、床下浸水は火災保険だけでなく、多くの場合は国の公的支援金の補償対象にもなりません。

床下浸水の場合、自治体からの義援金や災害見舞金などが受け取れる可能性もあるため、住んでいる地域の情報をチェックしておきましょう。

水道管の破裂

火災保険では水道管の破裂による建物や家財への損害は補償しますが、水道管自体の損害は補償の対象外です。

水道管などの給排水設備が破損すると、給排水設備自体の損害と、破損による水漏れ被害の2つが発生します。

火災保険では、床や家財などの水漏れ被害は補償しますが、給排水設備自体の損害は補償されません。

保険会社によっては、凍結による水道管破裂を補償する特約があります。

水道管など給排水設備の損害は保険で補償されないことを理解し、必要に応じて特約の付帯も検討しましょう。

免責金額に満たない損害

火災保険で設定されている免責金額に満たない損害の場合、火災保険金は支払われません。

免責金額とは事故の際に自己負担する金額で、設定方法は2とおりあります。

  1. 損害額が免責金額を超えたら、損害額の全額を受け取れる方法
  2. 損害額から免責金額を引いた金額が受け取れる方法

1つ目の方法で免責20万円の場合、損害額が20万円を超えるまでは全額自己負担で、損害額が20万円以上になると損害額全額を保険金として受け取れます。

たとえば損害額が5万円のとき5万円は全額自己負担ですが、損害額が30万円になれば30万円の保険金が受け取れます。

数年前まで、火災保険の風雪災には多くの商品で1つ目の方法で免責が設定されていました。

2つ目の方法で免責5万円の場合、損害額が5万円までは全額自己負担ですが、損害額が5万円以上になれば損害額から免責金額を引いた金額が受け取れます。

たとえば、損害額が20万円発生すると受け取れる保険金は15万円です。

火災保険で補償される破損・汚損にはあらかじめ2つ目の方法で免責金額が設定されていることが多いため、契約時に確認しておきましょう。

火災保険を請求する際の注意点

火災保険を請求する際の注意点は次の4つです。

  • 地震や津波による被害は火災保険の対象外
  • 保険金を請求しても保険料は上がらない
  • 保険金請求の時効は3年
  • 災害後は悪徳業者に注意

地震や津波による住宅への被害は火災保険ではなく、地震保険で補償されます。火災保険とセットで地震保険への加入も検討しましょう。

また、火災保険は保険金を受け取っても翌年の保険料は上がりません。自動車保険とはしくみが違うため、安心して保険金の請求ができます。

保険金の請求は保険法により時効が3年と定められています。損害に気づいたら放置せず、早めに請求してください。

大きな災害後は、今回補償されないケースとして紹介した損害も、保険金が使えると言って勧誘する修理業者が増加します。

一度契約してしまうと途中解約に多額の違約金が発生する場合もあるため、契約する前に保険代理店へ相談しましょう。

まとめ

火災保険は火災以外の自然災害も補償する保険です。しかし、原因が経年劣化の場合や損害が一定の程度に満たない場合、保険金がおりないケースもあります。

屋根や天井からの雨漏りは、風災による建物の破損が原因であれば火災保険で補償されますが、豪雨による雨漏りは補償されない可能性が高いです。

洪水による浸水被害は床上浸水であれば補償されますが、床下浸水は補償されません。

また、風災や水災はそもそも補償をつけていなければ補償されません。

火災保険で補償されないケースを知ることで補償内容をより深く理解でき、保険に加入する際や保険金を請求する際の失敗防止にも役立ちます。

火災保険の補償内容を確認し、必要な補償がついているか見直してみましょう。


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マル得ウェブ編集部

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