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地震保険はどこまで補償してくれるの?

日本は地震の多い国です。一般財団法人国土技術研究センターによると、日本の面積は全世界の0.29%しかないのに対し、全世界で発生したマグニチュード6以上の地震の18.5%が日本で発生しています。

日本に住んでいる以上、いつどこで地震が起こるかわからない状況の中、万が一の際の生活や家のことが心配な人は多いでしょう。

この記事では、地震による損害に備えて多くの人が加入している地震保険の補償内容について詳しく解説します。

補償される場合と補償されない場合の違いや具体的なケースを紹介するので、地震保険の理解に役立つでしょう。

地震保険の補償内容を理解し、必要な補償選びの参考にしてください。

地震保険とは

地震保険とは、火災保険では補償されない地震や噴火、津波を原因とする損害に備える保険です。

地震保険の対象は住宅用の建物と家財で、単体での加入はできず、必ず火災保険とセットで加入します。

地震保険の保険料は建物の所在地や構造、耐震性などにより異なりますが、政府と民間保険会社が共同で運営しているため、どこの保険会社で契約しても保険料に差はありません。

地震保険は政府も関与する公共性の高い保険です。

地震に関する法律に基づき運営され、被災者の生活の安定を目的としています。

被災した家の立て直しが目的ではないため、保険金額はセットで加入している火災保険の半分までしか設定できません。

たとえば、建物の火災保険の保険金額が6,000万円の場合、地震保険金は3,000万円までしかかけられません。

また、巨大地震が発生しても保険金の支払いに支障をきたさない範囲内での引き受けとするため、地震保険金には建物5,000万円まで、家財は1,000万円までと上限金額が定められています。

2億円の建物でも、地震保険では5,000万円までしか入れません。

いくらもらえる?地震保険金の支払い額

地震保険の支払いは実際の損害額ではなく、損害の程度に基づき、一定の割合で計算されます。

大地震の際に多数の損害が発生した場合、短期間で大量の損害調査を迅速かつ公正におこなう必要があるためです。

実損補償ではなく、損害程度に応じた保険金を支払う方法により、被災者へより早く保険金を支給できます。

損害の程度は、次の4つのカテゴリに分けられます。

  • 全損
  • 大半損
  • 小半損
  • 一部損

それぞれの損害の程度を決める基準と支払われる保険金は下の図のとおりです。

参照元:日本損害保険協会 保険料シミュレーター|地震保険|さあ、守りを固めよう。

支払い保険金の計算方法は建物と家財で異なります。

たとえば、火災保険金額4,000万円、地震保険金額2,000万円の契約の建物で計算してみました。

全損の場合、支払われる金額は2,000万円(建物の地震保険金額2,000万円×100%)となります。

大半損の場合は1,200万円(2,000万円×60%)で、小半損の場合は600万円(2,000万円×30%)、一部損は100万円(2,000万円×5%)が受け取れる金額です。

家を建て直すのにかかる金額4,000万円に対して、地震で全損と判断されても受け取れるのは最大で2,000万円です。

また、被災した際は実際の修理費ではなく、損害の程度に応じた保険金が支払われます。

地震保険は家の建て直しではなく、生活再建が目的のため、実際の損害額より受け取れる保険金が少ないケースがあると理解しておきましょう。

地震保険で補償されるケースと補償されないケース

地震保険で補償されるケースと補償されないケースは次の2点がポイントです。

  • 損害の原因が地震による揺れであるか
  • 損害が一定以上あるか

一つ目のポイントは、損害の原因です。

地震保険は地震を原因とする損害を補償するため、原因が地震か地震以外かが重要となります。

たとえば、地震による揺れで建物が全焼したり、崖崩れで建物が倒壊したりしたケースは、地震保険の補償対象です。

建物の外壁に入ったひびも、地震が原因で損害が一定以上と認定されれば、地震保険から保険金が支払われます。

しかし、大雨による崖崩れや経年劣化による壁の亀裂などは、地震保険の支払い対象とはなりません。

地震の発生日から10日以上経過後に生じた損害も、地震との因果関係がはっきりしないため補償の対象外です。

二つ目のポイントは、損害の程度です。

地震による損害が一部損に満たない場合は、損害が発生しても支払い対象とはなりません。

一部損とは、4つの損害区分のうち程度の小さいカテゴリです。

建物の場合、主要構造部の損害額が3%〜20%の損害または床上浸水を指します。

家財の場合は10%〜30%の損害が一部損に該当します。

たとえば、基礎や壁に小さなヒビが入っても、3%未満の損害と認定されれば保険金が受け取れません。

また、門や塀、水道管など給排水設備のみに発生した損害も主要構造部に該当しないため、修理費用が出ません。

地震保険は保険金を迅速に支払うため、建物の損害は基礎や柱、壁や屋根などの主要構造部の損害で判定します。

主要構造部に含まれない部分のみの損害は地震保険の補償対象とはならないため、注意が必要です。

地震保険の必要性

地震保険は全損でも火災保険の半分までしか補償されないため、地震保険金のみで被害のすべてをまかなうことはできません。

しかし、地震保険は被災後の当面の生活を支えてくれます。

地震保険の必要性を住んでいる住宅別に解説するので、あなたの状況に適した判断のヒントにしてください。

持ち家の場合

戸建ての持ち家で多額のローンが残っている場合は、地震保険への加入をおすすめします。

持ち家が全損になった場合、二重ローンに苦しむ可能性があるからです。

建物が全壊した場合、家はなくなっても家のローンはなくなりません。

家を立て直す際に再度ローンを組むと、住居費が2倍になり金銭的な負担が大きくなります。

地震保険に加入していれば、保険金をローン返済にあてられ、負担軽減が図れます。

持ち家でマンション住まいの場合は、払う保険料ともらえる保険金とを考慮して、地震保険への加入を検討しましょう。

新耐震基準を満たしたマンションは全損しにくく[b]、損害があっても一部損と認定される可能性が高いためです。

一部損に認定されると、もらえる保険金は地震保険金額の5%です。

保険で備えるべきかどうか、保険料と比較して考えてみましょう。

賃貸住宅の場合

賃貸の場合、建物への補償は必要ありませんが、家財や被災後の生活を守るための備えとして保険の要否を検討しましょう。

保険金の使い道は限定されていないため、家財の買い直しだけでなく、引越し費用や当面の生活費などにも使用できます。

賃貸に住む方も、住む場所がなくなれば新たな部屋を借りるのにお金がかかります。

被災後に必要な費用を保険で備えた方がいいか、あなたの資産状況を考慮したうえで判断しましょう。

まとめ

地震保険は、火災保険では補償されない地震や噴火、津波を原因とする損害に備える保険です。

地震保険で補償されるかどうかは次の2点がポイントです。

  • 損害の原因が地震による揺れであること
  • 損害が一定以上であること

火災や崖崩れ、外壁のヒビなどは地震が原因であれば補償の対象となります。

しかし、損害の程度が一定に満たない場合は、保険金がおりません。

地震保険は政府と民間保険会社が共同で運営しており、被災者の生活の安定を目的としています。

被災した家の立て直しが目的ではないため、保険金額はセットで加入している火災保険の半分までしか設定できません。

また、大地震の際に迅速かつ公正に保険金を支払うため、実際の修理費用ではなく、損害程度に応じて保険金額を決定する仕組みです。

地震保険のみでは損害すべてを補償できませんが、被災後の生活には役立ちます。

中でも、住宅ローンが残っている方は二重ローンの負担軽減のため、地震保険に加入しておいた方が安心です。

被災後も生活を続けられるよう、資産や生活状況にあわせた選択をして、家族や資産を守りましょう。


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マル得ウェブ編集部

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