節約・節税

太陽光発電を導入済みの家が検討する「蓄電池システム」って何?どんなものがオススメなの?

家庭用蓄電池とは電気を貯めておき、停電のタイミングでも電気を使えるようにするバッテリーのことです。太陽光発電と一緒に導入することで、使いきれなかった電気を売らずに貯めて、太陽光発電ができない時間に使うことができます。

 しかし、本体+工事費込みで約80〜200万程度の費用が必要です。果たして導入するメリットはあるのでしょうか。

家庭用蓄電池を導入する2つの理由ごとに損得を検証

経済的な利益を得るために導入する場合

 すでに太陽光パネルを導入済みの場合、蓄電池を導入することで得られる利益は、売電価格と電気料金の差額です。以下の条件でシミュレーションしていきます。

  • 設置している太陽光パネルの出力…6kW
  • 自家消費率…30%
  • 1kWあたりの年間発電量…1,136kWh(令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書より東京都の場合)
  • 年間発電量…1kWあたり1,136kWh×6=6,816kWh
  • 売電価格…8.5円/1kWh(Fit適用終了後の東京電力の場合)
  • 電気料金…25円/1kWhと仮定

 以上の条件で蓄電池がない場合、年間発電量6,816kWhのうちの70%である4,771kWhを8.5円で売却し、40,554円の収入を得ることになります。しかし4,771kWhを売電するのではなく、蓄電池に貯めて自家消費できれば4,771kWh×25円=119,275円の電気代が安くなります。40,554円の売電収入がなくなるので、差額の78,721円が蓄電池を設置することによって得られる年間利益です。

 したがって導入コストが100万円ならば約13年、150万円ならば約19年で元を取れる計算になります。

 ただし、太陽光発電の電気全てを自家消費できた場合のシミュレーションです。蓄電池の容量以上に発電してしまい、売電することもあるでしょう。また売電価格や電気料金はこの先変わる可能性も考えられます。あくまでも一例であり、必ずしも元が取れるわけではないことに注意が必要です。

災害時のために家庭用蓄電池を導入する場合

 災害時のために家庭用蓄電池を導入するのであれば採算を考える必要はありません。台風や地震などの災害時にも、普段通りに生活できる安心感は大きいからです。元を取れなくて損した分は、停電時でも快適に生活するための保険料と考え導入しましょう。

家庭用蓄電池を選ぶポイント

蓄電容量の選び方

 自宅の太陽光パネルの容量から蓄電池の容量を選ぶとよいでしょう。例えば自宅に6kWの太陽光パネルが設置されている場合、年間の発電量は6,816kWh(東京都の場合)、365日で割ると1日に約16.7kWh発電できます。このうちの30%を自家消費すると残るのは約11.7kWhなので12kWhくらいの容量が良いことになります。

保証年数とサイクル数

 蓄電池にはおおむね10〜15年の保証がついています。蓄電池で元を取りたいと思っている場合は、必要な年数分の保証がついていることが理想です。

 なお、蓄電池には機種保証と容量保証があります。機種保証は蓄電池自体の故障に対する保証です。一方の容量保証は蓄電池の劣化によって充電容量が減った時の保証で、例えばパナソニックの蓄電池には「10年以内に蓄電池容量が初期の60%未満になった場合」に対応してくれます。保証期間が長いだけではなく、容量保証があるかなど、内容の確認も重要です。

 また、充電量が0%の状態から満充電100%にして、また0%になるまで利用することをサイクル数といい、各製品に目安となるサイクル数が決まっています。例えばサイクル数6,000回使える蓄電池を1日1サイクル使うと、約16年間で寿命がくるという具合です。サイクル数はカタログに載っていない場合もありますが、販売店に聞くと教えてくれることもあるので、必ず確認しましょう。

全負荷型と特定負荷型

 全負荷型とは停電時に電気全ての電池を蓄電池でまかなえるタイプ、特定負荷型は事前に蓄電池を一部の回路のみ(例えばリビングのみ)につなぐタイプです。

 なお、200V対応の機種が全負荷型、100V対応の機種は特定負荷型となっている場合が多いので、特定負荷型ではエアコンは使えないことになります。

 もちろん、高額にはなってしまいますが、停電中にも普段通りの生活をしたいのであれば全負荷型を選びましょう。

補助金が使えるものを選ぶ

 国や各都道府県では蓄電池の補助金が用意されています。なお、2023年分の国の補助金は予算額に達したため、新たに受けることはできません。

 補助金の申請を受け付けている自治体はまだまだあります。ただし、要件に当てはまった蓄電池の購入が必要です。検討している蓄電池が補助金の対象であるか確認しましょう。

災害用に蓄電池を設置するのはあり、元を取れる保証はない

 家庭用蓄電池と太陽光発電の親和性は非常に高く、設置検討の余地は十分あります。ただし、必ずしも元が取れるかというと難しいのが現実です。この先の売電価格、電気料金、蓄電池の寿命や天候による発電量など、不確定要素があまりにも多すぎます。確実に元を取りたいと考えるのであれば導入を見送るのも1つの考え方です。

 ただし、災害時の備えになるという事実が変わることはありません。もし損失が出たとしても災害時にも普段通りに近い生活ができる安心を買ったのだと割り切るのであれば、蓄電池を購入して後悔することはないでしょう。


  • この記事を書いた人

マル得ウェブ編集部

マル得ウェブ編集部。お金にまつわるアレコレ、お得なキャンペーン情報などを発信しています。知らなきゃ損する、知って得する情報で老後破綻を招かない資産形成を図っていきましょう。 ※ 記事内容は掲載日時点のものです。本サービスのコンテンツを承諾を得ずに無断転載・複製・出版・譲渡・公衆送信・改変などを行うことは禁じます。

-節約・節税