車を運転するなら自賠責保険だけでは心配だからと、多くの人が任意保険に加入しているでしょう。
損害保険料率算出機構の2022年度自動車保険の概況によると、自家用車の2021年度対人賠償普及率は80%です。
任意保険は年齢や免許証の色など、条件によって保険料が大きく異なります。この記事では、保険料に影響する条件を解説したうえで、条件の違いによって保険料にどれくらい差が出るのかを実際にシミュレーションしています。
おすすめの加入方法についても紹介するので、任意保険にお得に加入したい人は参考にしてみてください。
保険料に影響する主な要素
自動車にかける保険は自賠責保険と任意保険の2種類です。このうち任意保険を一般的に自動車保険と呼びます。
自動車保険の保険料には、それぞれの補償内容と保険金額、車の種類と型式、その他の条件が影響します。その他の条件とは、主に次の要素です。
- 年齢
- 免許証の色
- 事故歴(ノンフリート等級)
- 走行距離
- 使用目的
対人・対物などの補償内容が同じでも、これらの条件が違うだけで保険料は大きく変わります。どのように影響するのか詳しくみていきましょう。
年齢
運転者の年齢によってリスクが異なるため、年齢条件や運転者の年齢層が保険料に影響します。
年齢条件は商品によって区分が異なります。たとえばアクサダイレクトでは、次の4つの区分から選択可能です。
- 全年齢補償
- 21歳以上補償
- 26歳以上補償
- 30歳以上補償
全年齢補償は補償範囲が広いためリスクが高く、保険料も高くなります。30歳以上補償は4つの選択肢の中で最も補償範囲を限定しているため、保険料は他を選択した場合よりも安めです。
事故件数のデータから、若年層のリスクが高く、年齢が上昇するにつれてリスクは減少します。しかし、50歳以上から事故件数は減少から増加に転じ、70歳以上のリスクはさらに高まる傾向です。
こうした年齢層のリスクの違いを反映させるため、年齢条件とは別に、運転者の年齢層に応じた区分も設けられています。
リスクの違いにより、年齢条件と運転者の年齢層が保険料に影響を及ぼします。
免許証の色
ゴールド免許の場合は割引が適用されるため、保険料が安くなります。
ゴールド免許は事故を起こさない良好な運転記録を持つ運転者に与えられるため、事故のリスクが低いと判断されるからです。
免許証の色は、主に運転する人の保険始期日時点の色が保険期間をとおして適用されます。最初はブルー免許だった人が、途中でゴールド免許に変わっても、途中からゴールド免許割引が適用されるわけではありません。
免許証の色は運転の安全性を示す指標の一つであり、保険料にも影響する重要な要素の一つです。
事故歴
過去の無事故年数や事故件数に応じてリスクに差がみられるため、事故歴を表すノンフリート等級が保険料に影響します。
ノンフリート等級は1〜20の数字で表され、数字が小さいほど保険料が高く、数字が大きいほど保険料が安くなります。無事故年数を重ねるほど等級は上がり、事故で保険金を受け取ると等級が下がる仕組みです。
たとえば、18等級の契約で1年間無事故であれば、翌年1等級上がり19等級になります。18等級の契約で事故が1件あり保険金を受け取った場合は、翌年3等級下がり15等級です。
また、同じ等級でも、直近数年間の間に事故があった場合となかった場合とでは、保険料に差が出ます。事故があった場合は事故有係数が適用され、今まで無事故だった人と異なる割増引率になるからです。
過去の事故歴により、ノンフリート等級や事故有係数が決まり、保険料に影響を及ぼします。
走行距離
保険会社によっては、年間走行距離が保険料に影響します。
長い距離を走ると事故のリスクが増えるため、年間走行距離が長いほど保険料が高くなります。
多くのダイレクト型保険では、見積もりの際に年間走行距離の入力が必要です。
年間走行距離は保険料を決定する要素なので、実際の距離と大きく乖離しないように注意しましょう。
使用目的
使用目的によってリスクや使用頻度が異なるため、保険料に影響します。
使用目的は主に次の3種類です。
- 業務
- 通勤通学
- 日常レジャー
業務用で使用する場合は保険料が高くなり、ついで通勤通学、日常レジャーと安くなっていきます。保険料に影響する項目のため、途中で車の使い方が変更した場合は変更手続きが必要です。
保険料差のシミュレーション
ほとんど乗らない人と毎日乗る人との違い
走行距離と使用目的により、どれくらい保険料に差が出るのか計算してみました。
走行距離による差は大きくても100円単位ですが、使用目的による差は2,000円以上ありました。
走行距離 | 使用目的 | ||
日常レジャー | 通勤通学 | 差額 | |
1,000km未満 | 15,370円 | 17,580円 | 2,210円 |
3,000km以上5,000km未満 | 15,530円 | 17,600円 | 2,070円 |
差額 | 160円 | 20円 |
年齢による違い
運転者の年齢による保険料差を計算したところ、次の表のとおりになりました。
20歳は年齢条件が全年齢と補償範囲が広いためリスクが高く、保険料が高めです。30歳以上の年齢条件は同じですが、運転者の年齢により保険料が異なります。とくに70歳を超えると保険料が高くなります。
年齢 | 保険料 | 年齢条件 | 差額例)30歳ー20歳 |
20歳 | 36,350円 | 全年齢補償 | |
30歳 | 17,600円 | 30歳以上補償 | -18,750円 |
40歳 | 16,890円 | -710円 | |
50歳 | 17,890円 | +1,000円 | |
60歳 | 17,130円 | -760円 | |
70歳 | 20,010円 | +2,880円 | |
80歳 | 28,550円 | +8,540円 |
【試算条件】保険会社:アクサダイレクト、保険始期:2023年12月1日、等級:18/0、事故件数:0、用途車種:自家用軽四輪、車名:NBOX、型式:JF4、初年度登録:2019年1月、免許:ゴールド、年齢:1993年1月1日(30歳)、本人配偶者限定、30歳以上補償、対人・対物:無制限、対物全損時修理差額費用特約、人身傷害:5,000万・搭乗中のみ、車両:なし
おすすめの加入方法
自動車保険にお得に加入したい人は、ダイレクト型の自動車保険を選びましょう。ネットで見積もりから契約まで完結でき、代理店型に比べて保険料が安めです。
ダイレクト型の自動車保険にも多くの種類があるため、さらにお得で自分に合う保険に加入するための方法を紹介します。
補償を限定
保険料はリスクに応じて変化します。補償を限定してリスクを下げれば保険料は安くなり、補償範囲を広げるとリスクが高まり、保険料が上がります。
たとえば夫婦どちらも30歳以上なら、運転者を本人と配偶者に限定し、年齢条件も30歳以上にしましょう。補償範囲を限定すると保険料を抑えられます。なお、年齢条件は同居の親族にしか適用されません。30歳以下の友人が運転する場合でも年齢条件に関係なく補償されるため安心です。
主に運転する人にあわせて補償を限定し、保険料を抑えましょう。
一括見積もりサイトを活用
自動車保険の一括見積もりサイトを使って、複数社に見積もりを依頼すれば、自分にあった保険会社を見つけやすくなります。
一括見積もりサイトなら、一度条件を入力するだけで、複数の保険会社から見積もりが届くからです。
届く見積もりは、それぞれ条件がまったく同じわけではありません。しかし、届いた見積もりをもとにカスタマイズして保険料の計算ができます。保険会社ごとの特徴もわかるでしょう。
たとえば、アクサダイレクトには子育て応援割引があり、12歳以下の子どもがいれば保険料が割引されます。おとなの自動車保険は1歳刻みの保険料体系で、事故率が低いおとな世代の保険料が割安になる仕組みです。
自分の年齢や家族構成などにより、自分にあう保険会社は異なります。一括見積もりサイトを活用すれば、簡単に自分にあう保険プランを見つけられ、保険料の節約にもつながります。
まとめ
自動車保険の保険料は、補償内容や保険金額だけでなく、さまざまな条件が影響を及ぼします。保険料に影響を及ぼす主な要素は次の5つです。
- 年齢
- 免許証の色
- 事故歴(ノンフリート等級)
- 走行距離
- 使用目的
保険料はリスクの高さに比例します。補償範囲を限定し、リスクを下げれば保険料は安くなります。それぞれの補償内容や車の使い方、家族構成などを考慮して適正な補償範囲に設定しましょう。
また、自動車保険の一括見積もりサイトを活用すると、自分にあった保険プランを見つけやすくなります。
補償を適正な範囲に限定し、自分にあった保険プランを見つけて、補償内容も保険料も納得のいく自動車保険に加入しましょう。